捏造慰安婦問題 そもそもどういう日韓合意を目指すべきだったのか?

年明け以降、やけに日韓首脳の対応が、マイルド過ぎるのが気になっている。

安倍首相と朴槿恵大統領が電話会談 首相「慰安婦合意があったからこそ連携確認」
http://www.sankei.com/politics/news/160107/plt1601070035-n1.html

何か裏でもあるのではないかと、勘ぐっているところである。

さて、本稿は、自身が首相官邸スタッフとなったつもりで作成した、「日韓合意あるべき論」の原稿である。

内容的には、下記原稿の現実化バージョンとなる。

捏造慰安婦問題日韓合意 文句あるなら仕様書ベースで提言すべきだ
http://nihonnococoro.at.webry.info/201601/article_5.html

本件、日韓合意にあたって、誰がどういう方針を出したのか、誰と誰が交渉してどういう経緯でそうなったのか、どういうケーススタデイの中でとりあえずの日韓合意に至ったか、私はまるで知らない。

私は、自分のビジネススキルとこれまでの経験を駆使し、公開情報から分析し、首相が上司だった場合を想定して検討文書として作成、提出するつもりで書いた。

本題に入らせていただく。

本稿では、拙ブログが年末以降、分析、検証、し続けてきた原稿において、

①日韓合意が予想外の合意内容であること
②そもそもどんな合意であれば日本側が受け入れ可能なのか
③そもそもどんな合意であれば日韓合意形成が可能なのか
④日韓合意を仕掛けた主体
⑤安倍政権が日韓合意を決断した背景
⑥韓国政府がベタ折れした背景

の中で、②について、検討、提言した原稿となる。

前々稿において

捏造慰安婦問題日韓合意 文句あるなら仕様書ベースで提言すべきだ
http://nihonnococoro.at.webry.info/201601/article_5.html

仕様書ベースの精緻さで、日韓合意に向けた、検討資料を各自が作成、官邸に陳情すべきだと、結論づけた。

これは、簡単に言うと、


どうやって最後の合意とするのか
正しいことにどこまでこだわるか
河野談話などの経緯をどこまで踏まえるのか
金を支出するのかしないのか
名目はどうするのか
賠償金とするのかしないのか
いつまでに合意を目指すべきか
韓国が合意を破った場合、どういう措置が妥当なのか
その他

ということになる。

しかし、ここで、重大な指摘をせざるを得ない。

それは

前々から述べてきたことであったが
捏造慰安婦問題に係わった、保守陣営の専門家も団体も
そもそもどういう合意が可能かビジョンをもっておらず、共有化もされていなかった

ことである。

この珍現象を、どう見るか?

安倍政権をとりあえずは支持、無条件支持、消極的支持(他に選択肢がないという意味)、どれであろうが、安倍政権が、合意に向けて動きだした以上、専門家、団体は、保守系であるならば、その理論的支柱となるべく、あるいは論点整理くらいは為されてしかるべきだが、実際はそうなっていない。

これが、保守陣営の実力なのである。

私は、あるべき姿の提言が、仕様書モデルでできていなかったことが、保守言論界の不幸ではないかと思っている。
それゆえ、できる範囲で分析、検証、提言し、それをなんとかしたいと考えている。

安倍政権は、一部妥協はしつつも、戦後レジーム脱却に向けて行動しようとしている。

ところが、一から十まで、官邸と外務省にオンブにダッコで、ちょっと妥協したくらいで、カッカする保守層が激増しているようだ。私も、日韓合意発表直後は、そうなりそうになった。しかし、考えた。

専門家が専門家としての役割を担っていない現状を私は憂いている。

そんな事だから、アメリカに見透かされ舐められるのだ。そして、保守層の一部は、さらに激昂することになる?

それでも、西岡力は、完璧とは言えないまでも、韓国政府の対応経緯と日本政府が合意にあたって取り組むべき方向性を示した。

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捏造慰安婦問題 日韓最終合意に係わる分析報告書の作成について
http://nihonnococoro.at.webry.info/201512/article_25.html

③ 韓国政府の主張について、どういう変化があったか押さえること
④ 今回の合意内容に照らして、③の韓国側の主張がどの程度達成されたのか、差異比較すること

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http://www.sankei.com/column/news/160106/clm1601060004-n1.html

国の名誉に禍根残す慰安婦合意 東京基督教大学教授・西岡力

 日韓両国政府が慰安婦問題で合意した。外交という側面からは肯定的に評価できる部分もあるが、国と国民の名誉を守るという側面では大きな禍根を残した。後者をどのようにリカバーするのかを早急に考えなければならない。

 ≪予断を許さない慰安婦像撤去≫

 ともに米国と軍事同盟を結ぶ韓国との関係改善は日本にとって国益にかなう。特に北朝鮮独裁政権が核武装をほぼ完成させる一方、大物要人の亡命があいつぐなど不安定さを増している現時点において、日韓関係の改善は日米韓3国同盟強化のために不可欠だ。

 朴槿恵大統領も昨年7月に「2016年にも(北朝鮮が崩壊して)統一が来るかもしれない。影響力ある要人が亡命しているのは事実だ」と述べている。同じく昨年、ハワイに根拠をおく米太平洋軍司令部が北朝鮮有事に備えて作戦計画の再整備に取りかかっているという情報もある。

 日本側からの要求を韓国が受け入れたという点も、これまでの対韓歴史外交にない新しさがあり、一定程度評価できる。これまでは韓国側からの要求を受け、まず謝罪した後、国際法上の立場から韓国の要求を値切るだけだった。それと比べると今回は日本側からも、(1)「最終的かつ不可逆的な解決」であることを韓国政府が確認すること(2)在韓日本大使館前の慰安婦像の撤去-を要求した


http://www.sankei.com/column/news/160106/clm1601060004-n2.html

前者は実現したが、すでに韓国第1野党が「合意に拘束されない」と公言しており予断を許さない。ただ、少なくとも一国の外相が公開の席で述べた国際約束を、政権交代したからといって無視するなら韓国の国際的信頼度は急降下するだろう。

 後者は韓国政府が「努力する」と約束したが、そもそも公道に無許可で建造された像の撤去をなぜ民間団体と折衝する必要があるのか、韓国の「法治」が揺らいでいるとしか言いようがない。もし、日本が10億円を払った後も像の撤去が実現しないなら日本世論では反韓感情がより拡散するだろう。

 ≪日韓関係歪めた盧政権の見解≫

 一方、日本にとっての慰安婦問題の解決は、虚偽によって傷つけられた日本国の名誉回復なしには実現しない。この点で今回の合意は禍根を残した。

 盧武鉉政権は05年8月に「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」(李海●国務総理主催)を開催して、慰安婦問題についての次のような驚くべき法的立場を明らかにした。

 〈日本軍慰安婦問題等、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については、請求権協定により解決されたものとみることはできず、日本政府の法的責任が残っている。サハリン同胞、原爆被害者問題も韓日請求権協定の対象に含まれていない。〉


http://www.sankei.com/column/news/160106/clm1601060004-n3.html

ここから、日韓関係はおかしくなっていく。11年8月、韓国憲法裁判所が、韓国政府が慰安婦への補償について日本政府と外交交渉しない不作為は「憲法違反」だと決定したが、それもこの盧武鉉政権の見解に基づいている。

 一方、日本政府は繰り返し慰安婦問題で謝罪をしてきたが、それはあくまでも売買春が非合法化された現在の価値観からの道義的なもので、当時の法秩序の中での「不法性」を認めていないし、「請求権協定で解決済み」という立場を崩していない。今回、岸田文雄外相も「責任の問題を含め、日韓間の財産および請求権に関する日本政府の(解決済みという)法的立場は従来と何ら変わりありません」と確認している。

 ≪事実に基づく反論を自制するな≫

 しかし、安倍晋三首相までもが謝罪して国庫から10億円もの資金を支出することを見て、国際社会では「日本政府が、第二次大戦中に20万人のアジア人女性を性奴隷として強制連行し、人権を蹂躙(じゅうりん)した事実を認め、韓国政府に10億円を支払うことに合意した」という虚偽が広がっているのだ。

 1月4日、合意に抗議して日本大使館前に座り込んでいた女子学生らは私に「20万人が強制連行され性奴隷となり、うち18万人が日本軍に虐殺された」と説明した。

http://www.sankei.com/column/news/160106/clm1601060004-n4.html

安倍首相は14年12月の総選挙で掲げた政権公約で「虚偽に基づくいわれなき非難に対しては断固として反論し、国際社会への対外発信などを通じて、日本の名誉・国益を回復するために行動します」と約束した。

 しかし、今回の合意で国際社会での相互批判を自制するとしたことにより、今後「断固たる反論」が事実上、できなくなるのではないかと憂慮される。

 そもそも外務省は、吉田清治証言が事実無根であることさえ積極的に広報していない。安倍政権が外務省主導の下、慰安婦問題をはじめとする歴史問題で「事実に基づく反論」を控えてきたことからすると、政府の国際広報をどのように再建するか真剣な検討が必要になる。私は繰り返し「外務省とは独立した専門部署を設置し、わが国の立場を正当に打ち出す国際広報を継続して行うこと」を提言してきた。日本国の名誉回復ぬきの慰安婦合意は評価できない。(にしおか つとむ)

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西岡力が示したことは以下。

・慰安婦像撤去は絶対条件
・日本国はどうやれば名誉回復できるか、虚偽だと認めさせるのか
・事実に基づき国際社会で反論できる余地を残す


続いて、つくる会の抗議声明文を読んでおきたい。

<声明>日韓両政府の「慰安婦問題」合意に強く抗議する
http://www.tsukurukai.com/News/index.html#271229news

読み込んではいる。ただし、問題点の指摘だけで、あるべき論的提言に至っていない。
また、つくる会は、安倍談話に先立ち、「侵略」や「おわび」の言葉を入れない様、要望書を提出している。

また、藤岡信勝は、安倍談話について、次のようにコメントを出している。

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https://ja-jp.facebook.com/nobukatsu.fujioka/posts/876696562416119

藤岡 信勝
2015年8月14日 ·
戦後70年安倍談話が出た。朝日新聞からコメントを求められたので、次の一文を送信した。また、テレビ朝日の報道ステーションからも取材を受け、基本的に同じことを語った。私の話は30秒くらいにまとめられるはずである。朝日系のメディアからの取材は、有識者懇談会の答申が出たことに危機感を覚え、「つくる会」として記者会見をしていたからだ。正直なところ、かなり危惧していたが、よく工夫されており、安堵した次第である。(以下、引用)
 旧敵国との和解を基調とし、平和国家としての日本の立場を訴えたこの談話は、米議会演説を想起させ、首相の思いも伝わり、感銘をもって読んだ。4つのキーワードが全て入っているとはいえ、それらはより大きな文脈で再解釈されており、現在の政治情勢の中では許容範囲であろう。戦後日本が国際社会に復帰するについて、寛容の心で手をさしのべた諸国民への感謝の念を表明したことも大切なことだ。将来の世代に「謝罪を続ける宿命」を背負わせないとの決意は特に評価できる。自由、民主主義、人権といった基本的価値を共有する国々と手を携えるとしていることも重要だ。歴史の解釈は当然様々な指摘も可能で、日本が国際秩序の挑戦者となったとの認識は近代史の古い学説の影を引きずっている。しかし、これだけの文書をまとめた安倍首相の政治家としての力量は歴代首相の中で群を抜いており、国民としてこの談話のメッセージを受けとめたい。安保法制はこの談話の延長上にあるもので、習近平よりも安倍晋三を信用して国民はこれに賛成すべきである。           「つくる会」副会長 藤岡信勝

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私は、日韓合意の最終形が安倍談話の延長線上にあると睨んでいる。従って、日韓合意の最終形として、レトリック部分が含まれることは、承知している。

一応、これらの文書を、拙ブログ管理人が予め用意した、(委託)仕様書に組み込みこんでみた。項目別に示したい。

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日韓合意確認書に係わる検討事項(仕様書方式で記述したもの)

・日本国の名誉回復(確認書等に記述)
・何を以て最終決着とするのか(定義としての明確化)
・条約としての有効性の維持(不可逆性の保障をどうするか)
・用語使用の適否(強制連行、性奴隷、慰安婦、少女像など)
・史実としての正確さの確保(強制連行、軍の関与、女性の名誉と尊厳などに係わる解釈、史料の扱い)
・歴史的対応経緯の確認(日韓双方、確認書等に付記)
・慰安婦像の処置(撤去、移設、放置など)
・虚偽であると認めさせるのか
・双方の国内対策義務(活動継続団体、個人に対する法的処理)
・双方の司法判断義務
・金銭支出の是非
・金銭支出する場合はその名目をどうするか(賠償金、賠償金以外)(金額、管理体制)
・合意破棄に係わる定義
・韓国が合意を破った場合の処置(報復措置、罰則など)
・慰安婦問題に係わる容疑者の身柄引き渡し
・慰安婦活動に関係した在日の強制送還、帰化取り消し等

※どういうケースを最善とするのか
※どういうケースを最悪とするのか

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ここで、私の意見を仕様書方式で書かせていただく。

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日韓合意確認書に係わる私案

(基本的スタンス)

確認書締結目的を日本国の名誉回復とすべきである
基本的にこれ以上の妥協はすべきでないスタンス(安倍談話並のレトリック的表現は許容)
以下個別事項について、日韓の間で締結される確認書にて文章化されるべきと考える。

(個別事項)

・重要用語すべて定義し、確認書に定義集として添付
・史実として正確さを保障するため、確認書に当時の公式史料を添付(添付しない場合は、外務省HPにて公開することを確認)
・韓国政府のこれまでの主張に対する、日本国の公式反論書を確認書に添付(正誤表をイメージ)
・安倍談話の延長線上としての、社交辞令的謝罪表現は許容(特定事象に踏み込んだ謝罪は不可、欧米メデイアを意識した内容)
・慰安婦像撤去は絶対条件
・日韓両国内において部分的に虚偽、錯誤に基づく活動があったことを確認書本文に盛り込むこと(活動継続者への法的措置を担保)
・日韓双方の国内対策義務、当局の取締り義務、司法義務の明文化
・金銭支出は、賠償金以外の名目とし、支出額は1億円程度(周知活動目的?)
・合意破棄条項の明文化
・合意を破った場合の罰則規定の明文化(桂・タフト協定?)
・韓国政府、民間組織が合意を破った場合の、日本政府あるいは民間組織による反論権保障
・慰安婦問題に係わる、韓国内組織関係者の入国拒否、韓国内在住の容疑者(日本国籍)の身柄引き渡しに係わる事項
・慰安婦活動に関係した在日組織の解体ならびに強制送還、帰化取り消し等
・その他安倍談話からの文言の流用

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イメージ的には、日韓合意を批判した完全否定派に近いかもしれない。しかし、私のポジションはゼロか百、どちらでもない。

こういうイメージのものであれば、陳情書として、官邸は受付処理しやすいのではないかと、私は思っている。

ここまで辿りつくのに10日近く要したが、拙ブログ管理人がイメージする、日韓合意の最終形のアイデアを示したつもりである。
ただ、にわか仕立てのものなので、後日、修正点が加わりそうな気がしている。

なお、これには河野談話の扱いをわざとに入れていない。正誤表的処理ないし、国内対策の範疇で処理したいと考えているからだ。
これに、ご不満の方、自身で、拙ブログが過去原稿で組み立てたシナリオとは別に、自身の考えたプロセスにて、あるべき論を構築いただきたい。

私の専門家への要望は、こうだった。
できるならば、こういう趣旨の文書を専門家に書いてほしかった。

こういう類のものが、日韓合意前に共有化されなかったことが残念でならないことを指摘し、本稿を終える。

この記事へのコメント

Suica割
2016年01月08日 12:12
妥結するとしたら、
一 日本国の国家機関が慰安婦を強制徴用していないことを両政府は確認し、これを最終結論とする。
二 しかしながら、悪質業者の取り締まりの不徹底のために、日本国政府は被害者に多大な損害を与えたことを日韓の政府は、確認し、これを最終結論とする。
三 戦前は、韓国人は日本国民であったことを鑑みた場合、国民保護の観点から、日本国政府はその補償を行う必要があり、その責務を果たすことを誓約する。
四 日韓両政府は、明らかに事実と異なる主張への反論以外は、お互いに言動を慎む。
五 サハリン及び原爆の被害者に対しては、国家命令によるもの以外は日本国に責任が及ばないことを両政府は確認する。
六 日韓両政府は協力して、強制売春行為を行わせた者の調査を行い、それを公表することにより、処罰とする。

ざっとだか、このラインならば、国策的国家犯罪の軛からは逃れられる。(一般の行政的失策の国家責任にレベルを落とす。その責任までは私は回避可能とは、なかなか思えない。)
時効の関係上、処罰は出来ないが、実行犯の名誉を汚すことで、道義的責任を当事者に取らせた事になる。)
事実との解離がない。(当事者の騙された等の発言と食い違いがない)
ことから、日本国民に納得いく説明は可能ではないかと思います。
管理人
2016年01月08日 19:15
面白いところに気づかれてますね。
ただ、用語の定義と史実との絡ませ方をどうするか?
作文としては、面白いのですが。

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