捏造慰安婦問題 用語使用の問題を見過ごしてはならない

日韓合意に至る経緯を調べていくうちに、官邸は、用語使用について、適切ではない対応をした可能性が高いと判断し、出稿することとした。

拙ブログは、日韓合意について、最終評価(最善手なのか、やむを得ないものか、ベターな選択なのか、悪手なのか)する際、検討事項が多岐に亘ることを示した。

―――――――――――――――――

http://nihonnococoro.at.webry.info/201601/article_8.html

日韓合意確認書に係わる検討事項(仕様書方式で記述したもの)

・日本国の名誉回復(確認書等に記述)
・何を以て最終決着とするのか(定義としての明確化)
・条約としての有効性の維持(不可逆性の保障をどうするか)

・用語使用の適否(強制連行、性奴隷、慰安婦、少女像など)
・史実としての正確さの確保(強制連行、軍の関与、女性の名誉と尊厳などに係わる解釈、史料の扱い)
・歴史的対応経緯の確認(日韓双方、確認書等に付記)

・慰安婦像の処置(撤去、移設、放置など)
・虚偽であると認めさせるのか
・双方の国内対策義務(活動継続団体、個人に対する法的処理)
・双方の司法判断義務
・金銭支出の是非
・金銭支出する場合はその名目をどうするか(賠償金、賠償金以外)(金額、管理体制)
・合意破棄に係わる定義
・韓国が合意を破った場合の処置(報復措置、罰則など)
・慰安婦問題に係わる容疑者の身柄引き渡し
・慰安婦活動に関係した在日の強制送還、帰化取り消し等

※どういうケースを最善とするのか
※どういうケースを最悪とするのか

―――――――――――――――――

次に、官邸担当者の視点でみた場合、実務上の課題が3つ発生していることを指摘した。

http://nihonnococoro.at.webry.info/201601/article_11.html

・外交文書としての用語の使用、定義をどうするか
・史実と外交的合意に係わるギャップを合意文書にてどう埋め合わせるか
・政治外交的な最善手はどのケースか(双方合意できるレベルでの)

では、外交文書としての用語使用、定義をどう分析、評価するか?(特に英文)

具体的には、こうなる。

・政権が使ってきた用語使用、定義は適切だったと言えるのか
・国際社会での用語の認識がどうなっているのか
・アメリカ政府の公式文書における用語使用と経緯
・韓国内の経緯と国内事情

この辺になってくると、外交史的視点で追える研究者、英語に堪能な方でないと、評価は難しい。
渡部昇一が、マッカーサーが議会証言で発言した「Security」という名詞の日本語翻訳についての、ちょっとした論争を思い出すからだ。

いずれにせよ、最高難度の事案であることは間違いない。

では、日韓合意については、どうか?

最高難度であるが故に、案の上、用語使用上の、不手際が露見しつつある。

「史実を世界に発信する会」が配信したレポートにおいて、安倍首相が、使用した用語において、経緯的に問題あるものが含まれているとしている。

―――――――――――――――――

「日韓慰安婦合意」に想う

―やはり歴とした独立国を目指さなければ始まらない
大阪市立大学名誉教授 山下英次

山下さんは、「20人の米国人歴史家の声明」に対する50人の日本人学者による反論を起草し、昨年9月に記者発表すると同時に、これを「史実を世界に発信する会」のサイトで、世界に発信しました。

http://hassin.org/01/wp-content/uploads/2015-rebuttal.pdf

この英文反論書は、アメリカ歴史学会(AHA)の機関誌『パースペクティヴズ・オン・ヒストリー』(Perspectives on History)の2015年12月号 に掲載されました。

山下さんが、今回政府がいわゆる「慰安婦日韓合意」を行ったことに対する根本的な批判を下記の通り発表しました。皆様のご参考になると考え、ご案内する次第です。

http://www.sdh-fact.com/CL/JK1.pdf

平成28年1月14日 「史実を世界に発信する会」茂木弘道

―――――――――――――――――

そのレポートとは以下である。

「日韓慰安婦合意」に想う 「日韓慰安婦合意」に想う 「日韓慰安婦合意」に想う
大阪市立学名誉教授 山下英次
http://www.sdh-fact.com/CL/JK1.pdf

一応、要求水準に達しているレポートであると思う。書かれた方は、文脈的に、日韓合意について完全否定派であろうと読める。
要約すると、官邸は、「使うべきでない用語」を意図して使用した、ということだ。
ただし、このレポートが、指摘する用語使用の不手際は、日韓合意前に、共有化されるべきであった。タイミング的に少し遅かったのである。
さて、この原稿に、次期首相候補と噂される議員が登場する。無条件肯定派は、この議員の発言に安堵したかもしれない。しかし、部分肯定部分否定派は、自身が次の重要ポストを得るのと引きかえに………という可能性を疑うべきだ。南京事案で、水間政憲がそういう前例があったと語ったことを聞いたことがある。

一方で、完全否定派の方々におかれては、日韓合意前に確定していたこと、日韓合意によって確定していたことに係わる整理が必要と思う。(皮肉ではない。戦法上のミスがなかったかという意味で)

次に、外務省の翻訳ミスの指摘があるので紹介する。ただし、部分的指摘に留まっている。

英文の方が酷い日韓慰安婦合意声明
http://blogs.yahoo.co.jp/gakumonnoiratume/70919990.html

他にも着眼点を変えた指摘があり、着眼点の多様さ、面白さは評価したいところだが、どれも入口論で留まっている。学者なのだから、国家の一大事だと認識し、もっと深く切り込んできただきたいものである。
学者たちは、誰にパクられるとか、気にする傾向にあるようだ。やり手の学者なら、そんなことにかまっている暇はないはずだし、要は、やる気と執念の問題ではないか。
才能ありそうな学者のようなので、頑張って書いていただきたいものである。

一方で、辞書片手に、外交文書分析を始めた方もおられる。

【慰安婦問題】日韓合意は「アウト」なのか?【青山繁晴】
http://ameblo.jp/bj24649/entry-12117273749.html

【慰安婦問題】アメリカが圧力をかけたのは日本か韓国か【日韓合意】
http://ameblo.jp/bj24649/entry-12115592297.html

こういう姿勢が、大切なのだ。
たとえ、専門家だろうと、疑うものは疑う。

まとめに入りたい。


日韓合意が最終的に日米韓合意として最終決着するのであれば、

孫世代に謝罪の義務を負わせないためにも部分肯定部分否定派が取るべきスタンスとしては

日本語を含め、英語の外交文書としての用語使用、定義をどうするか?

・政権が使ってきた用語使用、定義は適切だったと言えるのか
・国際社会での認識がどうなっているのか
・アメリカ政府の公式文書における用語使用と経緯
・韓国内の経緯と国内事情

について、研究者的視点で調べ直し

修正すべき点は修正を陳情するなどして迫り
最終決着させる必要があることを指摘し、本稿を終える。

この記事へのコメント

Suica割
2016年01月15日 17:59
今現在では、よからぬ人士が交渉に関わっていたことと、下準備が足らなかったこともあり、押し込まれながらの交渉にはなったが、国家の関与を業者の運営管理の監督の失敗と明言しなかった事以外は、とくにミスは無いと思ってますし、言い訳不可能な致命的なミスが無い事は良かったと思います。

この合意は、政治的には、日本優位に挽回可能な合意であろうと思います。
韓国のパク・クネ政権は三月までの命であります。
新政権が反日ブーストかけて、破棄するならば、日本も破棄すれば、合意以前の状態に戻るだけです。(韓国に愛想尽かす人間が増えますが)
文章的に完全否定派は不味いと言ってますが、政治的には、過去の精算に合意→韓国からの廃棄→やり直しの循環の一過程にしか過ぎません。
韓国でひっくり返してやろうという意見が出る時点で、政治的な文章としては、失敗と仮定しても、交渉的な意味では、一時停戦にしか過ぎず、とくに懸念は日本側はしなくて良いと思います。

ただ、停戦ですので、熱戦になったときに、より日本有利になるように自国陣営の引き締めと交渉材料の強化は必要です。

安倍政権の今回の合意の狙いは、一時の時間稼ぎと親韓派閥の減少を韓国自身にやらせることではないかと思っています。
管理人
2016年01月15日 19:15
<国家の関与を業者の運営管理の監督の失敗と明言しなかった事以外は、とくにミスは無いと思ってますし、言い訳不可能な致命的なミスが無い事は良かったと思います。
<この合意は、政治的には、日本優位に挽回可能な合意であろうと思います。
<文章的に完全否定派は不味いと言ってますが、政治的には、過去の精算に合意→韓国からの廃棄→やり直しの循環の一過程にしか過ぎません。
<韓国でひっくり返してやろうという意見が出る時点で、政治的な文章としては、失敗と仮定しても、交渉的な意味では、一時停戦にしか過ぎず、とくに懸念は日本側はしなくて良いと思います。
<安倍政権の今回の合意の狙いは、一時の時間稼ぎと親韓派閥の減少を韓国自身にやらせることではないかと思っています。

Suica割さん、冴えてます!
青山さんがこう語ってくれたら………………



Suica割
2016年01月15日 23:25
倉西先生に目をつけられているとは。
私も物の見方等でなかなかの人物だとは思ってますが、いかんせん学者は、日下公人先生曰く、実業家や政治家等に比べて、バイタリティーが低い人物が多いという事です。
また、正しくなくても、やらざる得ない現実への理解も薄いという点もあります。
そこは、仕方ない面もあると思い、私は知恵を借りる人として、尊重しています。
本当に優れた学者はパクられることを別にどうとも思ってない。
逆にそれを誇る所があるのではと考えます。

なんだろうが、引用というのは、著作権で認められたアイディアのパクりですし、学者の評価の一つとして、論文の引用数がありますから。
否定的だろうが、肯定的だろうが、引用というパクり一つ無い論文は、しょうもない駄文ですから。
管理人
2016年01月16日 04:16
<実業家や政治家等に比べて、バイタリティーが低い人物が多いという事です。
倉山満並のバイタリテイがあれば、評価したいところなのですが。
<正しくなくても、やらざる得ない現実への理解も薄いという点もあります。
清濁併せ呑む発想はこういうところから出てきます。学者には学問の自由があります。やりたくないことから逃れられる気楽さ、それが学者全体のレベル低下の原因だと思います。
Suica割さんの職場、かなりのハードワークであろうと推測します。私のかつての仕事もそうでした。

この記事へのトラックバック