陳情・請願に必要なスキル 「一般化技術」の重要性について

本稿は、以下の続編である。

ロビイストとして陳情活動するために必要なこと 小坪しんやに学べ!
http://nihonnococoro.at.webry.info/201501/article_28.html

そろそろ保守活動の弱点を克服すべきだ
http://nihonnococoro.at.webry.info/201502/article_12.html

まず、最近の保守活動全体のロビイスト活動を鳥瞰したい。

保守系団体には、頑張れ日本全国行動委員会、日本会議、つくる会、救う会、在特会、主権回復を目指す会、その他地域大の団体などがある。議席はないが、維新政党新風も加えていいだろう。

署名活動は、多くの団体が行ってきたところである。署名活動は、外国人参政権や人権侵害救済法案等に係わる反対運動等としての意思表示としては機能してきた。
しかし、法規制化、法改正を伴うものは、今一つである。
陳情書を提出してきた(同等と思われるものを含む)のは、日本会議、救う会であろうと私は見ている。日本会議中枢には、国会議員団がおり、皇室、國體に係わる事項について、先頭に立って取り組んできた経緯がある。救う会は、横田さんなど、拉致問題が政治外交マターであることをいち早く認識し、陳情活動のウエートが高かった経緯がある。関係者もインテリ揃いだった。

では、頑張れ日本全国行動委員会はどうだろう。NHK、尖閣、朝日問題など、どちらかと言うと、街頭活動のウエートが高い。ただ、頑張れ日本全国行動委員会が出現する前は、デモ参加者、街宣活動家は似非右翼扱いされた時代だった。
そういう意味で、頑張れ日本全国行動委員会は、普通の市民がデモに参加する道を開いた、初めての全国組織と言えるだろうし、水島氏は、その点においての功労者であることは確かだ。、
頑張れ日本全国行動委員会は、多くの問題を手掛けている。都知事選挙などを含め、手を広げ過ぎてパンク状態になっているのではないかと思っている。

見方を変えよう。

ここで、政治活動する団体の活動形態をモデル化したい。

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保守系団体の活動形態モデル

①事案発生

②問題認識(周知活動、勉強会)

③当面の対策検討・協議

④抗議活動開始(訴訟提起)

⑤陳情・請願活動開始(法制化、法改正)

⑥国会審議、行政組織対応

⑦法規制化、法改正

⑧新局面

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一応、政治的事象には、8段階存在することがわかる。政治活動する団体として活動する局面は、②~⑤が該当する。

保守系市民なら知っている、個々の活動の過去の経緯を追ってみたい。

NHK集団訴訟:④どまり
フジテレビ偏向捏造:④どまり(フジテレビに抗議文提出、スポンサー不買など)
慰安婦問題:一気に④に移行、個別に⑤の事案有り(河野談話見直し、河野元官房長官国会喚問要請の陳情書)
尖閣問題:④、個別には⑤の事案有り
反捕鯨活動:④どまり
在日免税特権:小坪議員以外は、ネット活動中心で②どまり
通名報道問題:ネット活動中心で②どまり
多文化共生反対:②どまり
移民拡大阻止:②どまり
裁判官弾劾:組織的動き皆無?

どうやら我々は、⑤陳情・請願という水準になかなか達し得ていないようである。

ここで、陳情・請願レベルの次元で活動している団体を再掲する。

2、3ある。それは、日本会議中枢と救う会である。主権回復を目指す会の活動も、いろいろあるにせよ、個々に陳情に近い行為は行っている。実は、機能的には、もう一つ存在している。それは、自民党都道府県連(事務局)である。自民党都道府県連(事務局)は、地方議会の意見書、農協団体等からの陳情書をホッチキス止めして、自民党本部に送付している。

西村修平が語る日本イズム
http://nipponism.net/wordpress/

長年活動家だった、西村修平氏のブログは、抗議活動中心だが、抗議文がここまで書けていることから判断するに、陳情書など朝飯前のような気がする。ブログランキング的には低迷しているが、活動スキル的に西村修平氏を手本とすべき点は多々あるように思えてならない。

西村修平
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9D%91%E4%BF%AE%E5%B9%B3

そして、私は、他の団体にできなくて、日本会議中枢、救う会、主権回復を目指す会、自民党都道府県連事務局が出来ていることに注目している。

これは、関係者が行政組織、立法組織を動かすスキルを有していることを意味している。

では、他団体はできないのか?というとそうではない。学者やマスコミ関係者は、批判だけは突出してうまいのだが、行政組織、立法組織を動かすための論理立て、手順、すなわち、いわゆる業界法などを読み、ビジネスノウハウ・仕事上の経験を駆使し、行政組織、立法組織を動かすことは得意ではない。言い換えると、そのためのちょっとしたスキルを有していないだけなのだ。口で語っていることと、文章で書く内容のかい離は大きい方にとっては、大きな壁が存在しているかもしれない。

私は、陳情文書作成に必要なスキルは2つあると思う。

一つは、事実を客観的に把握して報告書にまとめるスキル。これは、学者やマスコミ関係者よりもビジネス経験ある方の方が得意かもしれない。小坪しんや議員は、事実関係に係わる、きちんとした調査報告書が存在する前提で、初めて、陳情文書が受け付けられる状態にあると指摘している。

ロビイストとして陳情活動するために必要なこと 小坪しんやに学べ!
http://nihonnococoro.at.webry.info/201501/article_28.html

そして、もう一つは、文章化スキルの中核となる、「一般化」スキルである。

渓内謙という歴史学者の「現代史を学ぶ」という本に、そのスキルがどういうものであるか、具体的な解説がある。

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現代史を学ぶ


187頁

一般化 その限界と意味

歴史における一般化

歴史の研究は、個別的事実の収集で終わるのではなく、収集した諸事実の関連を見いだし知識を系統化することを目的とします。この過程を「一般化」とよぶことができます。「一般化」こそ歴史家を事実の収集家から区別する決定的指標です。個別的事実を羅列的に記述するだけでは、歴史の文章化とはいえません。「ただ煉瓦をむやみに積み上げても家ができないと同様に、事実にかんする知識をやたら並べても歴史はできあがらない」のです。(E・H・ノーマン『クリオの顔』)。

このように一般化は歴史認識の最終目的であるといってよいのですが、一般化をもってなにか既成の理論、歴史図式に事実をあてはめる、あるいは既成の理論、図式に見合った事実のみを収集して記述することであると考えるなら、一般化の意味を曲解することになります。歴史における一般化とは個々の事実から出発して一般的命題へと進める思考過程です。「歴史とは本来、事実を選び出して、その相互関係を評価することである」というとき、ノーマンは、歴史における一般化をこの意味において語っているのです(『クリオの顔』)。

226~227頁

日本の歴史書への批判

すぐれた歴史の文章とはなによりもまず、史料と陳述とのバランスが、作品の全体と部分との双方においてうまくとれた作品についていわれるのだと思います。そうした作品に一歩でも近づくためには、たゆみない修練をみずからに課するほかありません。
自戒としていうのですが、日本人は個別情報を一般的命題へと蒸留していく思考があまり得意ではないように思われます。日本の歴史書は、史料をながながと引用する一方で、史料から導きだすことができるはずの斬新な知見を積極的に展開しない傾向があるとの批判をよく聞きます。それとともに、既成の理論を下敷きにして史実を整理する「理論的」歴史記述が少なくないという批判をも耳にします。

歴史の推論は、個別的事実から一般的命題を導く帰納的推理であり、具体から中小へ、個別から一般へ、特殊から普遍へと展開する思考過程です。日本人にとってこの思考がどうも苦手なのではないか、自分を省みて、また日本人による現代史記述のいくつかを読んで、あるいは英国の歴史家とのつきあいの経験から、そういう思いに駈られることがこれまでいくどかありました。


227~228頁

不得手な一般化

私たち日本人の思考には、ものごとを微細に観察する経験主義的傾向があるようにも見えます。しかしそれとは不調和に映る思考傾向も目につくように思われます。それは、政治・経済・社会など、日常的実感を超えて理論的概念の操作も必要とする次元の問題については、一方で議論が個人の日常的実感の表白にとどまるか、さもないと、とたんに抽象的・演繹的になるという思考の二極化の傾向です。

それは、自分の経験・見聞を概念化する思考能力、個別的事実を一般化する、あるいは具体的なものから抽象的なものへと思考を上向きに絞り込んでいく帰納的推理の能力、日常的経験と裏腹の常識的・印象的説明を理論的概念化へと展開する思考能力において、私たちの思考には欠けることがあることを示唆する事実ではないでしょうか。


229頁

日本の学問の性格

学問の領域では、この思考習慣の結果は、学説・思想の研究のような経験のレヴェルを経ない学問的推論への偏重、実証的歴史研究では史実の羅列に終始する「過小記述」と既成の理論・歴史図式による史実の一方的裁断との二極化の傾向となって現れます。

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日本人はともすれば、ああいうことがあった、こういうことがあったと細々と書くのが得意だと、指摘がある。
確かに、そうだと思う。
ブログなどで、2ちゃんねるまとめサイトの引用・転載が多いのは、この「一般化技術」が得意でない裏返しなのだろう。

この「一般化技術」、何かというと、

要するに、多様で雑多な現象を、「別の言葉に置き換えたり」、「一言で言うとどういうことになるのか」、「簡明に説明するための言語表現スキル」なのである。

私は、上記で引用・転載した文章と、私なりの感覚で、「一般化して書き直した」に過ぎない。

日本人は不得意だが、欧米人はなぜか不得手ではないと、渓内謙は分析している。

私は、これを、英英辞典を彼ら欧米人が使いこなしてきた結果によるものであると考える。日本の語学の授業で英英辞典はほとんど使用しないが、外国の英会話学校で、英英辞典は、会話スキルを向上させるためのガイドブックとして使われている。
ビアスの「悪魔の辞典」などは、考えようによっては、英英辞典の変形バージョンみたいなものだ。

拙ブログは、提言型ブログを標榜しているが、実は、提言は生易しいものではないことは経験で知っている。誰もが文章化を躊躇った難しい仕事、あるいは文章化できず放置されてきたある仕事を担当し、担当者として(相当辛い思いをしながら)やらされたことがある。

その自分から見て、渓内謙という歴史学者が提唱する「一般化スキル」は、より高度な次元で保守活動を展開するのに、難易度は少し高いものの、避けては通れないのではないかと、思えてならない。

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