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zoom RSS 秦郁彦はどういうスタンスの歴史家なのか?

<<   作成日時 : 2015/11/17 19:15   >>

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本稿では、南京虐殺事案の討論番組に出演した、秦郁彦がどういう人物であるのか?

考察を試みたい。

討論番組については、以下のサイトにて解説が読める。

「南京事件」とは何か 諸説と“真相”の間に 3論客の見方相互検証
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6021.html


実は、最近、倉山満の歴史書を読んでいて、秦郁彦について珍しく茶化すような評価となっているのが気になっている。
(秦郁彦が田母神論文批判の急先鋒だった時代からそう思っていることではあるが)倉山満は秦郁彦について、その正体が何であるのか知っているようであるが、公には書けないようである。そこで、本当に保守の言論人なのだろうか?みたいに書いている。はっきり書くと身に危険が及ぶ?ことを気にして、そう書いているのだろうと私は読んでいる。

倉山満は病気療養中だとしている。
http://www.kurayama.jp/modules/wordpress/index.php?p=1488

本当に、本当にそうなのだろうかー

それでは本題に入りたい。

秦郁彦の著書を眺めていくと、3つの傾向があることがわかる。

まず、言えそうなことは、「若い頃は、結構まともな本を書いていた」ことである。倉山満もそうだと評価している。
私が読んだ一冊もそうだった。核心部分については無駄な文章はなかった。精緻な文章を好まれる方であるという印象を持った。
ただ、この点については、自分の人生経験を振り返ると、こうも書ける。「若い頃は、結構まともな本を書いていると思われるように振る舞った」と言うことなのだろう。
ノモンハンものの歴史書からわかることについて述べたい。
最新刊の「明と暗のノモンハン戦史」の帯には、決定版と書いてあったはずだ。私は、書店でこの本を立ち読みしたので覚えている。過去の文献を一とおり底ざらえして、歴史家として突き詰め、再編集し書き直したという印象を持った。
本の内容は悪くない。だが、本当の「決定版」は、埋もれた歴史書の中にあることを指摘しておきたい。
「ノモンハン事件の真相と戦果―ソ連軍撃破の記録」(小田洋太郎 、田端元)
多くの人は、秦郁彦の本を買うかもしれない。だが、史料的に揃えて示し、ノモンハン事変が日本側の一方的な敗北ではなく、ソ連側に甚大な被害があったことを最初に示したのは、この本だったのだ。

では、秦郁彦が決定版と称して、ノモンハン戦史本を出版する動機はどこにあるのか?

私が思うに、秦郁彦は、ノモンハンについては、自分の著書で以て、紛いものの本だらけのノモンハン歴史論争に決着をつけたいとする、大凡保守の言論人なら持つであろう動機、以外にもう一つ別の動機があるように思うのである。

いわゆる、定説を覆す、まともな歴史書が存在していたとして、その歴史書をどうしても自分の著書で上書きしたい、意図と言うか任務を帯びている?のではないか?
冒頭の倉山満の指摘をそのように私は解しているのである。

二つ目に言えそうなこととしては、陰謀史観に近い分野について、激昂し執拗に反発することである。実際、「陰謀史観」 (新潮新書)という本を書いている。
私は、この本を読んではいないが、アマゾンの書評欄を読むと、何か必死にそんなものはない、そんな事実はない、という前提で弁護しているように読める。
http://www.amazon.co.jp/%E9%99%B0%E8%AC%80%E5%8F%B2%E8%A6%B3-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%A7%A6-%E9%83%81%E5%BD%A6/dp/4106104652

田母神論文(2008年発表)については、歴史学的視点から読めば、形式的に論文の要件を満たしていないとする評価は、学術研究者から見ればそのとおりかもしれない。が、「文献資料を繋ぎ併せて書かれた、歴史について書かれた原稿」であることは確かである。
秦郁彦は、自分の書いたものが引用されたことに腹を立て、田母神批判したように囁かれているが、実は田母神論文で紹介された、「ヴェノナ文書」(当時は日本語翻訳本がなかった、「ヴェノナ」が出版されたのは2010年)の存在を何としても世に知らしめることを否定したい動機があって、田母神論文批判したのではないかと、考察するに至るのである。
実際、どのマスコミも田母神論文の記述を一切、参照せず、引用することはなかった。

私は、敗戦利得者集団の巣窟である、マスコミにとって、ヴェノナ文書の存在(ルーズヴェルト政権に300人前後のソビエトコミンテルンスパイがいたことを政府として公式に認めたもの)が公になることを嫌ったためであろうと、解している。

ベノナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%8A

ヴェノナ
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-70489-0

三つ目に言えそうなこととしては、「張作霖爆殺事件」、「南京事件」については、自身の珍説?に異常にこだわる一方、「慰安婦問題」については、比較的実務的アプローチから対応している印象があることである。

張作霖爆殺事件については、『謎解き「張作霖爆殺事件」』 (PHP新書)(加藤康男)を読み、秦郁彦の主張に無理があるなど通説とされているシナリオが完璧ではないという印象を持っている。倉山満は、加藤康男の本については、完全否定ではないが批判的である。(部分的には認めているということ?)

一方、南京虐殺については、秦郁彦は、どうしても虐殺があったというスタンスでなければならない、とする立場を堅持したいようである。

テレビの討論番組での言い分を参照したい。

「南京事件」とは何か 諸説と“真相”の間に 3論客の見方相互検証
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6021.html

秦郁彦が、南京虐殺に係わる本を出版したのは、1986年である。

『南京事件―「虐殺」の構造』(中公新書、1986年、増補版2007年)

田中正明の名著『「南京事件」の総括』が世に出たのは2001年である。

もし、前述のテレビ番組にて、田中正明と秦郁彦が論争していたら、どうなっていたのであろうか?

さらに、ここで、付け加えておきたいことが2つある。

一つは、秦郁彦は、山本五十六と同郷の半藤一利(先祖は長岡藩士、終戦時長岡中学3年)との共著が多いことである。

既に、山本五十六については、愚将・凡将の類であることは、以下の本から知れ渡りつつある。

・太平洋に消えた勝機 帝国海軍が日本を破滅させた 佐藤晃
・凡将 山本五十六 生出寿
・米内光政と山本五十六は愚将だった―「海軍善玉論」の虚妄を糺す 三村文男
・連合艦隊司令長官 山本五十六の大罪 ― 亡国の帝国海軍と太平洋戦争の真像 中川八洋
・負けるはずがなかった! 大東亜戦争 倉山満

これらの本は、秦郁彦にとって都合が悪いものであることを私は予測する。

そして、これらの本が、なぜ、敗戦直後ではなく最近になって増えてきたのか?
それは、そういう組織による謀略というか謀殺が、GHQ占領直後、旧軍関係者に続出し、旧軍関係者にとって、恐怖の的であったとされる指摘があるのだ。

その本の該当箇所をかいつまんで要約すると、こうなる。

―――――――――――――――――

「黒の機関」(森詠、祥伝社文庫)

GHQには、2派あった。(アメリカ国益派のウイロビー、共産系の一派)
郵船ビルに、アメリカ国益派のウイロビーの指揮の元、旧軍参謀関係者(戦犯指定レベル)が集められた。
旧軍関係者が所属する組織は、「歴史課」と呼ばれた。
最初の表向きの仕事は、「マッカーサー戦史」を編纂することだった。
郵船ビルに連行された旧軍関係者の中には、取調室で監禁、キャノン機関への協力を強要されたほかに、ウソ発見機にかけられた者、連行されたまま二度と帰ってこなかった元軍人もいる、と言われるほど恐怖の的であった。(45頁)

―――――――――――――――――

従って、敗戦直後、「マッカーサー戦史」を維持するために、山本五十六はマッカーサーの勝利をもたらした協力者?として善玉である必要が生じ、その結果、山本五十六について都合悪いことを書くことは憚られる時代があり、それでも周知させようとした人たちは、やむなく小説形式で書かざるを得なかったと私は見ている。
以下は、そういう意図によって書かれた小説形式の本であろうと見ていいだろう。

「ワシントンの桜の下」 春山和典(1983年)
「切腹した参謀たちは生きている 」(1976年) (幻の地下帝国シリーズ〈4〉) 金呂万

―――――――――――――――――

http://blogs.yahoo.co.jp/takaonaitousa/35203853.html

山本の反米エピソードは、春山和典(彼は斉藤博・中米大使の娘と結婚している」が書いた、岳父の思い出「ワシントンの桜の下」のなかに収録されている。山本がロンドン第二次会議の予備交渉に出発する直前、斉藤博大使に、次のように語った(1934年9月)。
「『俺も軍人だから。<どうしてもアメリカとやれ>といわれれば、アメリカともやってごらんにいれたいね。・・・俺の夢なんだがね。空母十隻、航空機800機を準備する。それだけで<真珠湾>と<マニラ>を空襲し太平洋艦隊とアジア艦隊をつぶすことは確実にできるんだよ』『少なくとも1年間は、太平洋にアメリカの船と飛行機は存在しないってわけさ。それだけの<戦争>はやって見せる』」

―――――――――――――――――

こういう類の言論をどうしても抹殺したい、組織の影響力が、当時は絶大であったが、徐々に、そうなくなりつつあると私は解している。

「ヴェノナ」や「ルーズヴェルト」関係の翻訳本の出版化が進み、安岡正篤の復刊(安岡正篤は焚書された本が多い代表格)、西尾幹二のGHQ焚書図書開封が進むのは、その証左なのだろう。

その一方、歴史を支配したい立場からすれば、一定のレンジで歴史認識を維持したい、仕切り役みたいな、任務を帯びた歴史家がいても不思議ではない。

それが秦郁彦かどうかまではわからない。どこに顔を出して、誰とどこで会っているのか、知らないからだ。

秦郁彦個人の視点で眺めると、個人として過去の業績を堅持したい気持ちはわからぬでもない。しかし、火病を発症した如く、ムキになって批判する姿勢は、任務的ではある。

一応、Wikipediaによれば、出自、経歴はこうなっている。

―――――――――――――――――

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%A6%E9%83%81%E5%BD%A6

秦郁彦

山口県田布施町出身


1956年大蔵省入省
防衛庁防衛研究所
防衛大学校
大蔵省財政史室
プリンストン大学大学院
拓殖大学政経学部
千葉大学法経学部
日本大学法学部

専攻は、日本の近現代史、第二次世界大戦を中心とする日本の軍事史。その他、昭和史に数多くの著作がある。

―――――――――――――――――

拙ブログは、皆様の判断に資するであろう、情報を示した。

どう判断するかは、これを読まれた皆様であるー

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
秦郁彦氏の慰安婦についての実証的な調査は尊敬に値するものだが、それだけで彼のすべてを評価することはできないでしょう。前々から、南京事件についての彼の見解に、中途半端なところで妥協しているという印象というか、証拠がない部分に正当化されない推測を加えているという評価を抱いていました。

彼に対する不信を強めたのは、いわゆる「富田メモ」に対する彼の安直な判断です。これも半藤氏と一緒にしていたのが胡散臭さを増しています。結局、厳密さを欠いた人としか僕には見えません。
yy10000
2015/11/17 23:39
秦郁彦は、慰安婦問題や沖縄集団自決問題では良い仕事をして正論を述べていますが、南京問題と冨田メモ問題では異常なほどダメダメです。
coffee
2015/11/18 00:57
yy10000様
ご指摘ごもっともです。私は、発揮される厳密さが意図的で時に任務的性格を帯びているのではないかと思われることです。

Coffee様
冨田メモ問題、思い出しました。歴史家というのは、その時点時点でわかっていることを書くため、その後解明が進めば、都度書き直しが発生するはずですが、南京問題については、書き直しをせず強情を張っている感じ?でしょうか。ただ、それ以外に、別の動機があるように思えてなりません。
管理人
2015/11/18 06:37
八幡和郎氏曰く、日本陸軍は悪玉。日本海軍もたいがいな組織で善玉とは言い難いそうです。

そういう主張が徐々に広がっている事が歴史の公平な見方の広がりであろうと思われます。

田母神論文の本質は、日本未紹介の歴史的一次資料の紹介文では無いかと考えられます。
故に、歴史の見直しをしたくない立場の人間が批判するとしたら、著者の立場、論文の形式等の内容に触れないやり口しかありません。
Suica割
2015/11/18 12:02
Suica割さんもいろいろ読み込まれているようですね。
八幡和郎は、最近はおとなしく振る舞っているようですが、かつて、拉致問題について否定的なことを語ったことがあるようで、油断できない人物としてマークしているところです。
管理人
2015/11/18 17:45

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